「お客さんが知らないから、自分が調べて教える」農業資材店が、補助金を営業ツールに変えた理由
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「お客さんが知らないから、自分が調べて教える」農業資材店が、補助金を営業ツールに変えた理由

能登町大箱
📅創業:2003年
従業員:2名
👤代表:高平 清美
事業者名:石川シード

能登町で農業資材・ハウス建設を手がける。顧客は農家が中心。震災で事務所・倉庫が半壊したが、翌月には営業を再開。営業再開補助金でコンテナハウスと設備を整備した。県のホームページや新聞で補助金情報を定期的にチェックし、取引先の農家に紹介。「お客さんが知らないから、自分が調べて教える」ことを営業の一環としている。

取材日: 2026.02.17ライター: 木本 正希

※掲載情報は執筆時点のものであり、制度内容は変更される場合があります。また、本事例は事業者の体験に基づくものであり、申請結果や補助金額を保証するものではありません。申請をご検討の際は、窓口で最新情報をご確認いただく事を推奨します。

💡

支援がもたらした変化

営業再開補助金でコンテナハウスと設備を整備した。申請はかなり簡単で、見積もりを揃えて埋めるだけ。県の方がこちらで修正しますよと言ってくれて、全くつまずくところもなかった。この使いやすさを取引先の農家に紹介して、みんなに利用してもらっている。
フェーズ 1

課題

震災で事務所・倉庫が半壊。農業の種まき時期(2〜4月)を前に、拠点なしでの営業を迫られた。もう一つの課題は、建設費の高騰だった。「なりわい補助金を使って、そこに建てようと思うんですけども、建設費がネックになる」。倉庫だけで2200万円。「建設費3倍ぐらいになったと感じる」。

フェーズ 2

選択と決断

事務所・倉庫を建て直すには、なりわい補助金を使っても負担が大きすぎる。その中で、営業再開補助金でコンテナハウスと設備を整備することにした。

究極の二択

事業再開をどうするか

選択肢 A
なりわい補助金で本格的に建て直す
  • 農業用倉庫(9割補助)+事務所(3/4補助)
  • ただし建設費が高騰(倉庫だけで2200万円)
決断
営業再開補助金でコンテナハウスと設備を整備
  • 申請が簡単
  • 金額的にも現実的
  • まずは営業を再開する

決め手:

「お客さんがいるので、無視できない。お客さんからの催促がある」。まずは営業を再開し、本格的な建て直しは建設費が落ち着いてから考える。

フェーズ 3

行動と変化

営業再開補助金を活用して、コンテナハウスと設備を整備。

「かなり申請しやすい申請方法」。県のホームページで情報を集め、商工会に相談。見積もりを揃えて申請書を埋めるだけ。「県の方がこちらで修正しますよって言っていただいて、全くつまずくところもなく、スムーズに申請できた」。

コンテナハウスは2024年7月に設置。実際に使い始めたのは2025年10月頃。「地震直後の2月には営業を再開、事業をしながら一年程かけて少しずつコンテナハウスの整備を進めた」。

営業再開のスピードが速かった理由は、顧客からの催促。「種まきの時期は動かせない。みんな避難していたり、仮設ができるまで戻れなかったりして、お客さんの数は減った。でも、農業を続ける人は生活のために作物を育てなきゃいけない。だから電話がかかってくる。自分たちもお客さんのことが心配だから、出向いていった」。

結果、震災の年(2024年)の売上は例年の3〜4割に落ち込んだが、2025年はほぼ元の売上に戻った。

独自の取り組みとして、補助金情報を営業ツールに変えている。「県のホームページを定期的にチェックして、『これも増えたな、あれも増えたな』と。それをお客さんに紹介して、お客さんたちもパソコンの知識がないので、スムーズに申請できるように手伝っています」。

「お客さんが知らないから、自分が調べて教える」。営業再開補助金だけでなく、なりわい補助金、持続化補助金、ものづくり補助金など、あらゆる補助金情報を収集し、取引先に紹介している。

⚠️

申請する人が直面しやすい『実務の壁』

建設費高騰の壁

建設費高騰で補助金があっても本格的な再建はハードルが高い。

情報不足の壁(補助金を知らない)

「意外とお客さん知らない。農家さんに限らず、普通の商工の事業者さんでもご存知ない方が多い」。

対象経費の線引きの壁(何が対象で何が対象外か)

持続化補助金で複合機の購入を考えていたが、対象外であることが後に発覚。

壁の乗り越え方(要点)

▼ こうやって乗り越えた

  • 県のホームページや新聞で補助金情報を定期的にチェック
  • 商工会に相談して、申請方法を確認
  • 補助金の対象になるかどうか事前に確認する
  • 取引先にも紹介して、一緒に復興を目指す
フェーズ 4

現在から未来へ

営業再開補助金によって仮設でも拠点を設けて事業を再開できることができた。

ただし、先行きには不安もある。「地域の高齢化が進み、生産量は減少している」。

豪雨の影響も大きい。

「豪雨で土砂が入ってしまっているので、作物の作り方が全く変わる。水はけが悪かったり、土の中に空気が行き渡らなかったり。作物が窒息してしまって伸びない」。

「農地の復旧もまだまだ進んでいない。田んぼだった所も木や石で埋まったまま。これからどうなっていくかまだ分からない」。

それでも農業を続けているお客様がいる。補助金情報を営業ツールに変え、取引先の復興を支援し続けている。

📖

再起の裏側:社長の営業術

「お客さんが知らないから、自分が調べて教える」

震災で事務所・倉庫が半壊しましたが、お客さんがいるので、無視できない。お客さんからの催促があるので、2月には営業を再開しました。営業再開補助金でコンテナハウスと設備を整備しました。申請はかなり簡単で、見積もりを揃えて申請書を埋めるだけ。県の方がこちらで修正しますよって言っていただいて、全くつまずくところもなかった。

「補助金情報を営業ツールに変える」

自分は県のホームページや新聞で補助金情報を定期的にチェックしています。「これも増えたな、あれも増えたな」と。それをお客さんに紹介しています。お客さんはパソコンの知識がないので、「こんな補助金がありますよ」と伝えて、申請を手伝う。営業再開補助金だけでなく、なりわい補助金、持続化補助金、ものづくり補助金など、あらゆる補助金情報を収集して、取引先に紹介しています。

「この使いやすさをみんなに紹介する」

営業再開補助金は本当に使いやすかった。全くつまずくところもなく、スムーズに申請できた。だから、「この使いやすさをみんなに紹介して、みんなに利用してもらう」。お客さんが補助金を使ってハウスを建てれば、自分のところに注文が来る。仕事の一環ですけどね。

## 今回活用した制度

営業再開支援補助金

被災した事業者が事業を再開するために必要な設備・備品などを支援する制度。

💰
補助率:2/3
📄
上限:300万円
ここがポイント:コンテナハウス、事務機器、設備など。「かなり申請しやすい申請方法。見積もりを揃えて申請書を埋めるだけ。県の方がこちらで修正しますよって言っていただいて、全くつまずくところもなかった」。

✍️編集後記

石川シードの事例が示すのは、「補助金情報を営業ツールに変える」という発想と実行力だ。

自ら支援情報を調べ、自身の体験もふまえて顧客に伝えることで、支援機関では届きにくい情報を補い、取引先の復興を後押ししている。

営業再開補助金についても、「申請は比較的シンプルで、見積もりを揃えて書類を整えれば進められる」と評価。補助金を通じた顧客支援が、地域の復興を支えている。

能登百業録 編集部

木本 正希