※掲載情報は執筆時点のものであり、制度内容は変更される場合があります。また、本事例は事業者の体験に基づくものであり、申請結果や補助金額を保証するものではありません。申請をご検討の際は、窓口で最新情報をご確認いただく事を推奨します。
支援がもたらした変化
課題
震災で工房が損壊した。柱が12cm傾き、機械がひっくり返り、シャッターが破損した。ガラスが割れ、地割れも発生した。工房の80坪全体が被害を受けた。
罹災判定は「一部損壊」。2回再申請したが、同じ結果だった。「公費解体の対象外。自力で直すしかない」。
シャッターと機械の修理、パソコンも業務に必要だが、予算的に厳しい状況だった。
選択と決断
商工会に相談し、持続化補助金を活用してシャッターと機械の修理となりわい再建支援補助金で業務用パソコンを購入することに。補助金申請中にパソコンが値上がりするなど数々の困難に直面したが、再建の歩みを止めることなく進み続けた。
なりわい再建支援補助金を活用するかどうか
活用しない
- •手続きの手間を避けられる
- •ただし購入費は自己負担
補助金を活用する
- •複雑な手続きをひとつずつ乗り越える
- •自己負担を軽減できる
決め手:
資産計上していればパソコンも補助金の対象になることが分かり、補助金を活用することを決断した。
行動と変化
持続化補助金は商工会と連携し、シャッターと機械の修理を達成。なりわい再建支援補助金は自力で能登空港の相談窓口に電話してやり取りした。
細かい書類の訂正にも粘り強く対応した。県から電話で指摘があるたびに、スペル1文字の修正、製品名の訂正、業種名の修正など、能登空港の相談窓口にも何度も足を運んだ。
取引先メーカーや支援機関と密にやり取りして最善を模索した。パソコンの価格変動問題では、商工会連合会の専門家に相談。直販メーカーとも連絡を取り合い、納期を調整した。
結果、設備の早期復旧を成し遂げた。工事は8月盆前に完了。パソコンも年末までに導入し、事業を再開できた。
申請する人が直面しやすい『実務の壁』
価格変動の壁(値上がり分は自己負担)
申請時と購入時の価格差は補助対象外。パソコンが約5万円値上がりしたが、補助金は見 積時の金額に対してのみ適用された。
スペル1文字の壁(大文字・小文字も間違い扱い)
県から電話がかかってきて「ここが違う」と指摘。Vの字の大文字・小文字、製品名(ガレリアXPがXTだった)など、細かい修正が何度も必要だった。
壁の乗り越え方(要点)
▼ こうやって乗り越えた
- •県から電話で細かい修正指示があるたびに、支援機関まで何度も足を運んだ
- •取引先等のネットワークを最大限活用
- •疑問は放置せず、自分ができることを探し続けた
現在から未来へ
今回の補助金申請では、細かい書類修正、価格変動など、多くの困難に直面した。
それでも設備を整え、事業を続けることが地域への貢献だと考えている。能登町で建築業を営み続けること。それが自分にできることだ。
再起の裏側:経営者の本音
「細かい壁に一つ一つ向き合った」
震災で工房が損壊。罹災証明は「一部損壊」で、公費解体の対象外。「自力で直すしかない」。 商工会に相談して、持続化補助金となりわい再建支援補助金を活用することに。 なりわい再建支援補助金は自分で能登空港の相談窓口に電話して申請した。すると県から電話がかかってきて、「ここが違う」と何度も指摘される。 「スペル1個間違っててもダメ」。 細かい修正を何度も繰り返した。
「取引先と連絡を取り合って最善を探った」
申請後、パソコンが値上がりした。 メーカーに聞くと「半導体需要で世界的にパソコン部品が不足している。だから2倍になる可能性がある」という。 県に電話して相談。商工会連合会の専門家にも相談した。 「更なる値上がりや廃番になる可能性もある」。納得できるまで調べた。
「設備の早期復旧を成し遂げた」
工事は8月盆前に完了。パソコンも年末までに導入できた。 支援機関まで何度も足を運び、取引先等のネットワークを最大限活用し、疑問を放置せず歩み続けた。 細かい壁に一つ一つ向き合って、事業を再開した。
## 今回活用した制度
小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)
小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度。
なりわい再建支援補助金
被災した施設・設備の復旧費用を補助(中堅企業等も対象)。
✍️編集後記
蛸島工務店の事例が示すのは、補助金申請手続きの現実と、それを乗り越えるための主体的な行動である。パソコンの値上がりや申請書の修正など、多くの困難がある中でも、自分が納得いくまで調べ、できることを探し続けた。立ち止まらずに動き続けたその姿勢が、事業の早期再建につながったといえる。
「こうやって聞かないと分からない。自分も初めて経験している」。蛸島さんの経験は、これから制度を活用しようとする事業者にとって、ひとつの道しるべとなる。
能登百業録 編集部
木本 正希
